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新しい時代を迎えるITインフラ技術 −Web2.0を中心として−

第1回 2006年10月16日(月) 幕張メッセ202会議室

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日本IBM  技術理事

エグゼクティブ・テクニカル・アドバイザー

中島 丈夫 氏

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昨年より始まった「幕張IT&Mediaスクール」は、今年も10月16日から幕張メッセ国際会議場会議室にて始まりました。今年の第1回目は昨年に引き続き、日本IBM技術理事の中島丈夫先生による講演が行われました。

メディア学部教授の岡崎による開会の挨拶続いて、メディア学部長の袁より、日本のIT業界をリードする地域の一つである幕張に於いて、IT&Mediaスクールを開講することの意義、そして日本IBMと本学にとって幕張が重要な意味を持つ地域であることなどについて、説明がありました。


中島先生のご講演は、「新しい時代を迎えるITインフラ技術 −Web2.0を中心として−」と題し、現在まさに起こりつつあるインターネット革命第2章としてのWeb2.0の進展を歴史的な流れの中に位置付けることによって、概念と実態を総合的に把握しようとされるものでした。

はじめに「システム」としての情報技術、情報社会について概観され、これまでのシステム(コンピュータ・ネットワーク技術と社会・経済的文脈から創り出される情報システム)の歴史は、集中から分散へという流れの中で発展してきたこと、そしてそれぞれの極においては、「メーンフレーム中心」、「パソコン中心」、「インターネット中心」、「ビジネス中心」という特性が見られてきたことを指摘されました。

そして、現在の「ビジネス中心」の特性においては、SOA(Service Oriented Architeture)を構築することによって、ビジネスとITを統合する形の発展が重要とされることを強調されました。こうした文脈において、これまで重要とされてきた「作る」、「買う」、「使う」といったDimensionに付け加えて、新たに「組合わす」という側面が加わるというご指摘は、サービス提供者と利用者の間に立つ仲介者(Mediator)の役割が重要になるというご指摘と合わせて、Web2.0へとつながるものであること 示唆されました。

その上で、これからの社会がSOA、Web2.0、ユビキタスといったそれぞれの概念が相互に連関することによって、多様化と統合を同時に実現しうる「社会中心」の特性をもつイベント指向へと移行していくとの分析を示されました。こうした流れの中でこれからの社会は、日本IBMに代表されるようなシステム系、急激に拡大しつつあるコモディティ系、そしてこれまでも存在していた大学や自治体などのコミュニティ系の、三者のバランスの上に存立していくという視点を示されました。

社会進化の文脈の中で、オープンソースで皆がつながるという意義の重大性や、POA(Participate Oriented Architecture)というネットワークの開放性・外部性をもたらす概念の重要性を指摘された、中島先生の今回のご講演は、社会全体の進化を捉え、その上で克服すべき技術的・制度的課題を明らかにするものであり、単にIBMの今後の方向性を示されるにとどまらず、大学や地域社会のあり方についても考えさせる点の多い、大変考えさせられることの多いものでした。


アラン・ケイ、マーク・ワイザーといった情報技術を切り拓いてきた人々は、単に技術を開発するに優れていただけでなく、技術の持つ社会的意味を捉えることにも秀でていましたが、中島先生もこうした先人達と同様に、社会的文脈から技術の動向を捉えておられることに、大変感銘を受けました。社会の進化とは技術によってのみなされるのではなく、歴史的視点に立ったイノベーターの活動によって成り立つという思いを強く持ちました。中島先生が講演の中で述べられた、「イノベーションとは、発明、発見、ビジネス、社会価値が合わさって展開されていくもの」とのお言葉が、まさにそうした姿勢を示す象徴的な言葉であったのではないかと考えます。

当日は、本学より多数の学生の参加があり、多くの学生が中島先生のお話に熱心に聞き入っていました。また一般の方の参加もあり、1時間半が短く感じられるような密度の濃い時間となりました。

中島先生、どうもありがとうございました。

記録・文責:情報科学研究センター研究員 寺本卓